革新的永久カレンダーの秘密 MB&F

April 25, 2022 Text Yasushi Matsuami

従来の永久カレンダーが31日を基本とするのに対し、28日を基本とすることで、この機能の弱点を克服したモデルがMB&Fから発表された。その秘密とは?

レガシー・マシン・パーペチュアル
レガシー・マシン・パーペチュアル
手巻き、ケース径44㎜、レッドゴールドケース+アリゲーターストラップ、世界限定25本、138,000スイスフラン(プラチナケース仕様は世界限定25本、168,000スイスフラン)。

宇宙船や日本のアニメからのインスピレーションによる独創的なハイエンド・ウオッチ、と言うより“マシン”で常に驚きを誘ってきたマキシミリアン・ブッサー&フレンズ(以下、MB&F)から、またしても驚愕(きょうがく)モデル「レガシー・マシン・パーペチュアル」が発表された。MB&Fの中ではクラシックなイメージもありながら、文字盤センターの上空でホバリングするテンプを特徴とするコレクション「レガシー・マシン」に属するものだ。

この時計には、従来の永久カレンダーの弱点を克服するさまざまな画期的な発明が導入されている。これまでの永久カレンダーは、閏うるう年の2月を含む各月の日数を自動的に判別するモジュールをベースムーブメントに重ねる方式が採られていた。また、日付表示機構は、各月31日を基本とし、小の月の月末に1~3日分を早送りする方式が一般的だった。しかしこの場合、日付送りの誤作動や、故障しやすいデメリットがあった。また日付修正の際、47カ月分日付を送らなくてはならないなど、煩雑さも問題視されていた。

ステファン・マクドネル
ステファン・マクドネル
1972年北アイルランド・ベルファスト生まれ。幼少期から時計修理に興味を持ち、オックスフォード大卒業後、スイスのWOSTEPに学び、独立。MB&Fとは2007年の「HM1」製作から関わってきている。

この「レガシー・マシン・パーペチュアル」は、28日を基本とし、月ごとに何日を加えるか、という考え方で開発された。各月の日数を判別するプロセッサーを備え、日付はレトログラード式。これによって、日付修正が簡単に行え、誤作動リスクも大幅に低減。しかもモジュールによらない一体型ムーブメントで、動力伝達効率の向上を始め、合理的な設計となっている。しかも、従来の永久カレンダーに不可欠だった大型レバーを必要としない設計のため、美しいスケルトン仕様も可能となったのだ。

ムーブメント開発を手がけた時計師はステファン・マクドネル。アイルランド出身で、オックスフォード大学で神学を修めた変わり種。子どもの頃からの趣味が高じ、大学卒業後、改めてスイスの時計学校WOSTEPに学んだ後、そこで教鞭(きょうべん)を執り、2007年に独立。MB&Fとは、ファーストモデルの「HM1」の製作から関わってきた。

4年前、この革新的なパーペチュアルカレンダーのアイデアをステファンから聞かされたM・ブッサーは大いに興奮したという。インディペンデントな時計師ならではの自由な発想から誕生した次世代のマスターピースの誕生を歓迎したい。

※『Nile’s NILE』2016年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

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