ANDY WARHOL KYOTO 前編「初めての京都」はこちら
ANDY WARHOL KYOTO 中編「〝ビジネス・アーティスト〟へ」はこちら
「死」に魅入られて
移民の子としてアメリカの地方都市ピッツバーグに生まれてから58年、アートの世界で絶頂を極めたウォーホルにも、やがて終焉に向かう陰りが見えてくる。しかし彼は、そんなことはとっくに承知していたはず。
ポップな日常を切り取ったアートにも、華やかなセレブの肖像画にも、ハッピーを象徴する「フラワー」シリーズにも、作品にはどこか「死」の影が漂っているではないか。それは刹せ つ那な的なものの見方によるものであり、「死」に魅入られて制作に取り組んだことの一つの表れでもあるように思う。
その思いを強く感じるのが、晩年、レオナルド・ダ・ビンチの「最後の晩餐」を題材に制作した連作絵画である。ゲイの彼は迫りくるエイズ感染の危険におびえながら死への恐怖を募らせる中で、カトリック信仰に救いを求めたのかもしれない。
存命ならば94歳。ウォーホルが今の時代を生きていたなら、どんな日常に創作意欲を燃やすだろう。ふとそんな思いにとらわれる大回顧展でもあった。必見である。

© The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York

アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO
会期:2023年2月12日(日)まで
会場:京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」
京都市左京区岡崎円勝寺町124
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館)、12月28日(水)~1月2日(月)
www.andywarholkyoto.jp