マネーが先かグリーンが先か? ドイツの選択

February 1, 2020 Text Yoshihiro Kimura
June 24, 2022 Last modified

日本、欧州、アメリカの自動車メーカーが生き残りをかけてそれぞれ本気で環境対策に臨む今。環境先進国にして経済大国であるドイツの自動車メーカーがとる戦略とは?ドイツ在住のモータージャーナ リスト、木村好宏氏が現地よりレポートする。

道路

環境先進国ドイツ、どこまで対策済み?

ドイツにおける新車購入者のCO 2 排出量に対する意識調査
ドイツにおける新車購入者のCO 2 排出量に対する意識調査。

自他共に環境先進国として認められるドイツ。が、実は自動車に関する環境保護対策となると歯切れは余り良くない。それはまず、この国のメーカーは平均以上の快適性と高性能とを売りにしたクルマを多く生産し 輸出しているからである。ポルシェ・カイエンGTS、メルセデスML63AMG、あるいはアウディR8などの巨大なク ルマがそれにあたる。

現在、環境問題でもっとも注目されているのは地球温暖化の元凶である二酸化炭素の削減だが、これらのクルマが1km走る間に排出する二酸化炭素はカイエンが361g、AMGは392g、R8が349gと、 欧州委員会が定める2012年までに守るべきガイドライン130g/kmの3倍近い(プリウスは104g/km)。もちろん ドイツ・メーカー全部がこうした傾向にあるわけではなく、フォルクスワーゲンは前述のメーカーよりも小さなクルマを生産しており、環境対策に邁進しているのは言うまでもない。しかしもっと根本的な問題は、ドイツには速度制限のないアウトバーンが存在することだ。

EUの攻撃にドイツ政府は苦しい言い訳

  • メルセデスベンツ メルセデスベンツ
    新型メルセデスベンツAクラス。優れた環境性能で注目を浴びている。
  • ポルシェ ポルシェ
    ポルシェ カイエン ハイブリット。
  • メルセデスベンツ
  • ポルシェ

速度無制限のドイツのアウトバーンは、地続きの欧州各国やブラッセルのEU環境委員会から批判の対象となっており、また民間の機関「ドイツ自動車交通クラブ」の試算によれば、全路線に120km/hのスピード・リミットを設ければ年間200万tのCO低減につながるとの数字も出ている。しかし速度制限の導入は、高性能を売りにするドイツ自動車メーカーにとって死活問題。これら企業を優遇する政府は、たとえ速度制限が導入されてもCO 排出量は0.3%しか減らないと発表し、それよりも渋滞を解消するのが先決だとして矛先を変えようとしている。こうした中、EU環境委員会では2013年までに平均排出量130gを越えるメーカーに課徴金導入を考えている。そうなれば、ドイツ・メーカーは大きな打撃をこうむることになりかねない。当然、各メーカーは対策を練っている。

※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています

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