シンメトリーな小宇宙 ARNOLD & SON

April 25, 2022 Photo Takehiro Hiramatsu(digni) Text Yasushi Matsuami

18世紀、航海用の高精度マリンクロノメーターの開発に大きな功績を残した英国人時計師、ジョン・アーノルド。そのDNAを受け継ぎ、スイスのハイエンドムーブメントサプライヤーであるラ・ジュー・ペレ社が復活させたブランド、アーノルド&サンから、宇宙を意識したシンメトリックな造形が魅力的なモデルが届いた。

表側から見えるムーブメントが対称であるのみならず、サファイアクリスタル製のケースバックを通して見える後ろ姿もシンメトリー。完璧な設計に脱帽の思いを禁じ得ない。「ネビュラ」手巻き、ケース径41.5㎜、RGケース×アリゲーターストラップ、3,218,400円。
表側から見えるムーブメントが対称であるのみならず、サファイアクリスタル製のケースバックを通して見える後ろ姿もシンメトリー。完璧な設計に脱帽の思いを禁じ得ない。「ネビュラ」手巻き、ケース径41.5㎜、RGケース×アリゲーターストラップ、3,218,400円。

腕時計のムーブメントは、しばしば宇宙に例えられる。極小のコンポーネンツが精密に組み上げられ、動力を伝え合いながら正確に律動する様は、無数の星を抱いて無限に広がる宇宙空間にも似て、見る者を引き付け、ロマンや感動を呼び起こす。ここに紹介するアーノルド&サンのタイムピースは、星雲を意味する「ネビュラ」の名を持つ。まず、その完璧なまでにシンメトリックな造形に心を奪われるだろう。シースルーダイヤルを通して眺めることのできる立体感に富んだスケルトンムーブメントには、伝統的な英国スタイルの時計に用いられた二等辺三角形状のブリッジが左右対称に並んでいる。動力を蓄える二つの香箱は、1時半と10時半位置で対をなし、5時位置のテンプと7時位置のスモールセコンドサークルも、シンメトリックに配置された。そして、文字盤中央から放射状に広がるように設計されたムーブメントの眺めは、恒星が爆発した後、宇宙空間に広がる星雲(ネビュラ)を彷彿(ほうふつ)させる。

アーノルド&サンを現代に復活させたのは、高級ムーブメントンの製作で名をはせたファクトリー、ラ・ジュー・ペレ社である。美しい設計や英国風のディテールはもちろん、コンポーネンツの面取り仕上げの見事さや、90時間のロングパワーリザーブなど、同社ならではの確かな技術力が、この時計にも息づいている。

伝統性と先端技術の融合から誕生した自分だけの〝宇宙〞を手首にのせる気分は、格別なものに違いない。

●ブローバ ジャパン TEL03-5408-1390

※『Nile’s NILE』2016年12月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

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