低価格戦略で人気の企業に注目

田嶋智太郎 経済アナリスト

October 31, 2022
November 29, 2022 Last modified
田嶋コラム 2022.11

国際金融市場に激震が走っている。時系列で振り返ると、まず9月21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が閉幕し、後に伝わった米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長会見の内容や、FOMC参加メンバーらによる金利見通しが想定以上にタカ派寄りであったことが市場を揺らした。
 
そして、翌22日には日銀が約24年ぶりの円買い介入を実施した。同日のドル/円の高値と安値の値幅は5.5円超となり、市場関係者や市場参加者は大わらわ。続く23日には、英国のトラス政権から、所得減税や法人増税凍結などを柱とする政策が発表され、市場は英株安・債券安・通貨安の「トリプル安」に見舞われる有り様となった。
 
さらに25日、イタリアで総選挙が行われた結果、ポピュリズム色の濃い右派政権が誕生する見通しとなり、一連の出来事によって英・伊の債券利回りは急上昇。連れて、米国の10年債利回りも急上昇し、一時的にも4%の大台に乗せる動きとなったことから、世界の株価は同時に大幅な下げに見舞われることとなった。
 
当然、日本株もその難から逃れることはできず、執筆時までに日経平均株価は7月初旬以来、再び2万6000円割れの水準を拝まされることとなっている。象徴的なのは、半導体製造装置関連の代表格と呼べる東京エレクトロンの株価で、年初につけた高値=6万9170円のほぼ半値水準まで売り込まれている。
 
世界全体の景気後退懸念がみるみるうちに強まっているなか、半導体関連や電子部品関連などの銘柄群は、しばらく上値の重い展開を余儀なくされる可能性が高いと見られている。しかるに当面の間、投資家の物色の矛先が向かいやすいのは、やはり「内需に強い銘柄群」ということになるであろう。
 
実際、グローバルに事業を展開する大型株の売買が手掛けづらくなっているなか、新規株式公開(IPO)市場は目を見張る活況ぶりを呈している。また、10月から一段と消費財の価格が値上がりする状況下にあって、低価格路線を堅持している消費関連銘柄なども投資家人気を集めている。
 
例えば、店舗の看板に「ディスカウントドラッグ」を掲げるコスモス薬品(証券コード:3349)は、競合チェーンが出店を抑制する傾向を強めるなか、22年度に約120店を新規出店する。店舗作業の標準化などによって運営コストを徹底的に下げ、一般のスーパーやドラッグストアの売上高販管費率が20%台であるのに対して、同社は約16%に抑えている。
 
また、庶民に人気の「業務スーパー」でおなじみ神戸物産(3038)も核となるFC店舗の純増ペースを落とさない。利益率が高いプライベートブランド(PB)商品が冷凍食品を中心に好調で増収増益基調を続ける。同様に、PB比率拡大で粗利率の改善を図るパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)も、ドン・キホーテなどディスカウント事業が日用雑貨中心に好調を続ける。
 
なお、9月下旬に発表された基準地価では、31年ぶりに住宅地が上昇。ことに、東京近郊や湘南エリア、福岡県の博多駅周辺などの上昇率が高いことから、来年3月に「新横浜線」を開業する相鉄ホールディングス(9003)や、博多駅周辺でビッグプロジェクトを手掛ける九州旅客鉄道(9142)なども注目される。

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『スウェーデンのフェアと幸福』
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田嶋智太郎 たじま・ともたろう 
金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。

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