時代を読む――原田武夫 第15回

June 9, 2014
July 12, 2022 Last modified

ネオ・ジャパネスクの時代という大輪の花

時代を読む――原田武夫 第15回 ネオ・ジャパネスクの時代という大輪の花

インテリジェンス、すなわち「スパイ」の世界に暮らす紳士たちの行動には共通した特徴がある。例えばその一人と夜に会食する。最後にその人物は菓子折りを差し出しながら言うのだ。

「今夜はありがとうございました。これどうぞ、奥様に」

何気ない会話のように聞こえる。だがその実、このメッセージはとても深い。

これは「あなたのことは家庭に至るまで全部見ていますよ」ということなのだ。押し頂いたその日から別の人生が始まる。なぜならば誰かが“全て”を観察し始めているからである。

先日、そうしたインテリジェンス紳士の一人と出会った。

快活なナイスガイであるその紳士は、数時間にもわたって、国内外の真実を教えてくれた。無論、レベルとしては、特級の極秘情報ばかりである。

残念ながらその詳細についてここで書くことはできない。だが非常にかいつまんで言うと「我が国は結局のところ、米国と中国という大国に翻弄されたまま漂流することになる」というのである。最後は恒例の「菓子折りの行事」があり非常に恐縮しながらも、他方で私は大いなる違和感を禁じ得なかった。

確かに「これまで」はそうだったかもしれない。だが、我が国を本当のところ律している根源的な階層は意図的にそういった構造を作っただけのことなのである。そして自らは動くことなく、むしろ愚かなふりをしながら「その時」を待ち続けてきたのだ。その間、全てが動き、衝突し、破裂し、なくなっていく。最後には他に何もなくなった荒野が広がる中、いよいよ立ち上がるのが我が国なのである。そうした高い目線で見るか見ないかによって、これから起きる真実は全く違ったイメージになってくるのだ。

「結局のところ、最後は日本しか残らないのではないか」

非常におぼろげながら、そうした印象は徐々に、しかし着実に世界中で広がり始めている。それでは我が国だけが残るその理由、そしてその次の時代に向けて我々日本人は一体何を創り上げていくのか――。

これから次代に向けて当然出てくるこうした問いかけに対する私なりの答えを出すために1冊本を出すことにした。『世界史を動かす日本――これからの5年を迎えるために本当に知るべきこと』(徳間書店)である。その中で私はこれから訪れるのは世界が日本化していくネオ・ジャパネスクの時代であり、それを可能にするのは他でもない、幼少期から日本語を習得することによってだけできあがる「日本語脳」であると論じた。「日本語脳」で特徴的なのは論理と感情の両方を左脳で処理している点である。

論理は左脳、感情は右脳と使い分けるのが米欧人であるのと全く異なっている。そうであるからこそ、私たち日本人が語る言葉は「非論理的」であり、同時に「情緒的で味わい深い」ともいえるのである。それが我が国の社会や文化の在り方そのもの、すなわち「ジャパネスク」とでもいうべきものの根底にあるのであって、これが新たに世界的に広がりを見せる時代。それがネオ・ジャパネスクの時代なのである。

これまでの世界は真逆であった。「日本人は非論理的。日本語は英語と違いすぎる。だから日本人のグローバル化が最も遅れている」。米欧からは盛んにそのように嘲笑され、また同じように自虐的に語るのが我が国の文化人と相場が決まっていた。また我が国にインテリジェンス機関が、本当の意味で存在しないのも、時に非情にも「好ましい現実を創る」ことが日本人には生来的に不可能だからなのだ。

だがこれからは違う。全世界的な闘争が拡大する中で共倒れが生じ、その中で別のルールの日本だけが燦然と輝くのだ。

そこに至る道のりは厳しいが、開花すると大輪の花となるもの。それがネオ・ジャパネスクの時代なのである。

原田武夫(はらだ・たけお)
元外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。
情報リテラシー教育を多方面に展開。講演・執筆活動、企業研修などで活躍。
https://haradatakeo.com/

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