時代を読む――原田武夫 第49回

February 2, 2020
July 8, 2022 Last modified

「PAX JAPONICA会議」とは何か

スマホ

最近、フェイスブック上で新しい試みを始めた。

フェイスブック上では、気の合った仲間たちとつるむためにつくる場のことをグループという。そこに「PAX JAPONICA会議」という公開グループを立ち上げたのだ。公開グループであるので、フェイスブック上で検索してもらえば、誰でもそこでの議論を読むことができる。

PAX JAPONICAは「パックス・ジャポニカ」と読む。「日本の平和」という意味だ。これまでの時代は「パックス・アメリカーナ」だ。米国が棍棒を持って世界秩序を保ってくれていたわけである。しかし、それが揺らぎ始めている。そうした中、聞こえてきたのが「日本こそ、これからの世界秩序の中心なのではないか」という呼び声なのである。これがPAX JAPONICAという主張の根底にある。

だが、そうはいっても我が国が米国と同様に、棍棒を世界中に向けて振り回し始めるとは全く想像ができない。第一、我が国には世界に冠たる「平和憲法」がある。ここにきて武器輸出三原則を緩めるなどして、これを実質すり抜けようとする試みを政府が何度となく行っているが、平均レベルの国民は全くそうした動きについていけてないのである。

それもそのはず、我が国は「平和」の旨みを戦後、120%享受してきたからだ。そのために棍棒を振り回して、相手に言うことをきかせるなどということは、はなからできなくなってしまったというわけなのである。

それでは「日本の平和」、すなわち我が国が世界秩序の中心となり、もって世界全体が平和になるのは何によってなのか。――こう考える時、大きな壁にぶち当たるのだ。確かに我が国では今、「地方創生」の呼び声もけたたましく、地域ブランディングや地方マーケティングが盛んに行われている。そうした中で我が国の各地方が持つ良さがあらためて認識されるようになっており、それに引かれて我が国を訪れ、最終的には永住してしまう外国人たちが後を絶たない。

しかし「それでは一体、ニッポンの何が良いのか」というと百花繚乱、全くもって意見がまとまらないのだ。しかもこの議論をやりすぎると、次第に「日本以外の他の国は一切要らない」といった国粋主義を唱え出す者がいるから要注意なのである。

その結果、「我が国は結構、イケてるのではないか」という議論が始まるたびに結論はあえて出されず、まさに雰囲気の上で「まぁ、そういうことだ」と確認して話が終えられてしまうのだ。それでもなお「ニッポンが一番だ」と誰しもが思っている。

我が国の外へ一歩踏み出すと、全くもって事態はそんなに甘くはないのである。「トランプ」「プーチン」「ドゥテルテ」など、強烈なキャラが居並ぶ中、我が国のリーダーはどう見ても影が薄い。理由は分からないが、どうも「彼らとは違う」のである。それでもPAX JAPONICAが実現されるのはなぜなのか。―そんな疑問を持つ多くの方々と、率直な話し合いの場をつくろうと思い立ち、立ち上げたのが件の「会議」なのだ。驚くべきことにたくさんの方々がメンバー登録され、実に活発な議論が行われている。そうした様子を見るたびに、私は思うのである。「あぁ、やはりPAX JAPONICAは実現するのだな」と。形の見えない夢について語り合うのは実に面白いものだ。ぜひ一度、来訪されてはどうだろうか。

原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。

※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています

新着記事

中尊寺ゆつこには30年後が見えていた⁉

ART&CULTURE

ジェンダー問題、サステナブル、スピリチュアル、ヒップホップ、etc……。
バブルが膨らみ始めた1980年代末、彗星のごとく登場した女流マンガ家、中尊寺ゆつこ。「オヤジギャル」という流行語を生み出し、『お嬢だん』『スイートスポット』などの連載マンガをヒットさせ、ガムのテレビCMにも起用されるなど、時代の寵児となっていきました。当時のトレンドをリードしたことに注目が集まりがちですが、実は今に通じる様々な意識改革を発信した先駆者でもあったのです。当時、PLAY BOY日本版に連載された彼女の記事をめぐって、中尊寺ゆつことは何者だったのかを検証します。

ART&CULTURE

ジェンダー問題、サステナブル、スピリチュアル、ヒップホップ、etc……。
バブルが膨らみ始めた1980年代末、彗星のごとく登場した女流マンガ家、中尊寺ゆつこ。「オヤジギャル」という流行語を生み出し、『お嬢だん』『スイートスポット』などの連載マンガをヒットさせ、ガムのテレビCMにも起用されるなど、時代の寵児となっていきました。当時のトレンドをリードしたことに注目が集まりがちですが、実は今に通じる様々な意識改革を発信した先駆者でもあったのです。当時、PLAY BOY日本版に連載された彼女の記事をめぐって、中尊寺ゆつことは何者だったのかを検証します。

おすすめ記事

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE’S CODE DIGITAL」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。